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 ←【感想】LaLaDX感想と妄想SS →一夜の夢
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狼陛下SS

温かな存在

 ←【感想】LaLaDX感想と妄想SS →一夜の夢
「陛下!」
陛下の自室付きの官女に許可を貰い、部屋に足を踏み入れた。寝台に横たわる陛下。
傍らには側近の李順さん。

「陛下が倒れたと聞いて…!」
夕鈴が寝台の側までよると、李順が口元に手を当てた。

「お静かに。陛下はねむってらっしゃいます」
「す、すみません…容体は…?」
「ただの風邪と過労です」

ほっと胸を撫で下ろす。
陛下は常に危険と隣り合わせ。何が起きても不思議ではない。
「官吏の異動などあって、ここ最近働き詰めでしたからね。丁度一段落したところでよかったです」

仕事が終わってなかったら、この状態でも働かされるのかしら…ちらっと脳裏に浮かぶと、すぐ否定の言葉が入った。

「私もそこまで鬼じゃないです」

私の考えを見透かしたように言う。
こちらも連日働き詰めなのだろう、李順さんも青い顔をして、こめかみを押さえた。
盛大なため息のあと、

「夕鈴殿。私はこれから、陛下がいない為、色々とやらなきゃいけないことが山積みなんですよ。」
「はい」
「陛下をお任せできる人間はいないので、貴方に陛下の看病をお任せします」
「わ、私でいいんですか?」
「女官にも信がおける者は少ないんです」

勿論陛下にも陛下付きの女官がいる。
歴代の王に比べると数は少ないが、いずれも表と裏まで身分がはっきりしているもの達ばかりだ。
ただ、いつどこで彼女達に甘い言葉が囁かれているかわかったものではない、と李順さんは言う。

「その点ではあなたを信頼してます」

わざわざでは、というところを強調するのにはすこしカチン、ときたが、そこは目をつむる。

「では、後は任せます」

李順さんはふらふらになりながら、そのまま陛下の自室を後にした。




寝台に横たわる陛下の額の布を新しいものに取り替える。
だいたい、陛下は働き過ぎなのよ…。
ここ最近、陛下は仕事が忙しく、夜も後宮に戻れない有様。
私も陛下の顔を見るのは久々だった。
最後に見たときよりも、少し頬がシャープになった気がする。一国の王様だから、きっと沢山の仕事があるんだろうけど。体調管理も仕事のうちですよ、陛下。
私にも何か陛下にお手伝い出来ればいいが、今のところは寝込んでいる陛下の看病くらいが関の山だ。

することもあまりないので、何か出来ることはないか、と辺りを見回した時、それが目に入った。
枕元にある薬。
侍医の文字で『食後に飲むように』とメモが添えられている。
薬を飲むには、まず食事ね。
隣の部屋に待機していた女官に、陛下の食事についてどう指示が出ているのか、聞きにいこうかしら。
多分李順さんが手配してるだろうけど。
風邪の時には栄養をとって、ぐっすり寝るのが一番。
さらに、薬があれば陛下もすぐに良くなる。
ただ、陛下はお薬が嫌いというのは、前に聞いたことがあった。
氾家の栄養剤さえ、結局陛下は手を出さなかったし。
この薬も、飲まないかもしれない。
(あ、そうだ…)
頭に、良い考えが浮かんだ。
でも、ここを離れるのは…と思ったところに、丁度良い訪問者。

「陛下のお加減はどうじゃ」
「老師、すみません!お願いがあるんです!」






人の話し声で目が覚めた。
見慣れた天井。

けど少し…いつもより息苦しさを感じる。
そこに夕鈴が土鍋をもって寝室に現れた。

「陛下、おめざめですか?」
「夕鈴…僕…」

起き上がろうとすると夕鈴が阻む。

「熱があって倒れたんです。そのまま寝てて下さいっっ」
「ああ…」

そうか、先程まで執務室で仕事をしていたんだ。
最後の書類に王印を押してからの、その後の記憶がない。
僕が意識を失ったから、部屋に運ばれたのか。

「具合は如何ですか?食欲はあります?」
「ん〜。眠ったからかな、もう全然大丈夫だよ」

寝台の上で身体を軽く伸ばしてみる。
大丈夫だよ、といいつつ、少し身体が怠い。身体に力も入らない。
倒れたなんて不覚だ。
確かにここ最近無理をしたのは間違いない。
夕鈴に会えない日が続いていたので、少し無理をしてでも今日は早く帰ろうと思っていた。
夕鈴に会いたかったから。
倒れたのは誤算だったが、代わりに夕鈴が自分の世話を見てくれているのは、嬉しい誤算かもしれない。
残った仕事の方は、僕の優秀な側近がなんとかしてるだろう。
夕鈴は持ってきた土鍋を寝台の脇の卓に置くと、空いた手で僕の額に手を当てた。

「…まだ熱いですね。今日はゆっくり休ん下さい。
。あと、これ…食べれるなら、食べちゃってください。お口にあえばいいんですけど…」
「もしかして夕鈴の手作り?」
蓋を開けると、お粥から蒸気が溢れた。まだ温かい。

「風邪の時くらい温かい食べ物の方がいいから…老師に仲介してもらって、厨房に入らせて頂いたんです」

夕鈴のご飯まで食べれるなんて、たまには病気になるのもいいかも知れないなんて思ってしまう。
夕鈴は寝台の傍に腰掛けて、僕がお粥を食べるのを見守ってる。
悪戯心がむくむくと沸き上がってきた。
今日はとことん甘えよう、病人なんだし。

「やっぱりまだ食欲わかないかも…」
「陛下…少しでもよいので食べて下さい。食べたほうが、早くなおりますよ」
「…夕鈴がたべさせてくれるなら、僕、食べられるかも」
「!?へ、陛下…元気じゃないですかっっ」
「だめ?」

夕鈴が子犬の仕種に弱いことは既にわかっている。
僕はものすごく残念そうな顔をする。
わざとじゃないよ。
だって本当に残念だからね。
夕鈴は耳まで赤い。
普段だったら、もうそろそろ爆発する頃なのに、僕が病人だから我慢しているのだろう。
顔に、
(〜〜〜〜相手は病人なのよ!)と大きく書いてある。
あともう一押しかな?

「ゆーりん…だめ?」
「〜〜〜わかりました」

夕鈴陥落。
夕鈴は僕の膝からお粥を自分の手元に移動させて、蓮華で一掬いする。
まだ湯気がたっているそれを、赤い顔した夕鈴がふーっふーっと2回息をかけて、冷ましてくれる。

「ま、まだ熱いので気をつけて下さいね…!」

蓮華を僕のほうに向けてくれるのは嬉しいけど、夕鈴の視線が宙をさ迷い、いまいち食べにくい。
本当は、君が笑顔で食べさせてくれるのが一番だけど、これ以上は限界そうなので、そこは我慢しよう。
夕鈴の手ごと蓮華を引いてお粥を口にした。
うん、美味しい。

「凄く美味しいよ、ゆーりんありがとう」
「ど、どういたしまして…」

*


食事が進むうちに、夕鈴も慣れてきたのか、視線は合わせないけれど、いつものおしゃべりが戻ってきた。

「温かいご飯は美味しいね」
「毒味が必要なのはしょうがないですけど、身体を冷やすのはよくないんです!やっぱりあったかいまま食事をしたほうが健康の為にいいんですよ」
「じゃあ今後、僕のご飯は夕鈴が作ってくれる?」
「ダメですよ!厨房の皆さん、陛下の為に一生懸命美味しい食事を作って下さってるんですから。」
「でもそれじゃあ温かいままご飯が食べられないよ?」
「ど、毒味の方たちも皆陛下の安全の為に命をかけてるんですから」
「夕鈴が作ってくれるなら毒味もいらないのに」
「そもそもバイトとはいえ妃が作るものじゃないですよ」
「また食べたいな…」
「…そのうち、また作りますから…」
「わ〜い。約束だよ………ご馳走様」

たわいないお喋りをしている間に、ちゃっかり次の約束をしつつ、夕鈴のお粥を完食。
夕鈴のお粥は、とてもシンプルで、丁寧に味付けられていた。優しい味。

「陛下、じゃあ最後にお薬のんで下さいね」

夕鈴が土鍋を下げて、寝台の傍らに置いてあった粉薬をさす。
「夕鈴、僕、お薬きらい。」
「折角侍医さんが処方してくれた薬ですよ。飲まないとバチがあたります」
「ゆーりん、僕に薬は効かないよ」

小さい頃から沢山の毒にならされた為、薬が効きにくい体質になっている。
そんなこと、夕鈴に言うことはないけど。

「だから、飲んでも効果がないし。飲みたくないな」

一瞬だけ、夕鈴の表情に陰り。
「−陛下、ちょっと待ってて下さい」

そういうと、夕鈴はお粥の器を持って寝室を出ていく。
程なくして戻った時には、片手にポット。
夕鈴は粉薬の近くに置いてあった、茶色い液体を湯呑みに少しだけ注ぎ、さらにお湯を注ぐ。少しだけ掻き回して、それを僕の前に突き出してきた。

「陛下、薬を飲まないなら、こちらをどうぞ」
「これは…?」

半透明な茶色い液体の中に、繊維質のものが浮かんでいる。
今までにみたことがないものだった。

「生姜湯です。風邪に効きます。黒糖が入ってるから、苦くないので、陛下も飲めると思います」

僕は勧められるまま、茶色い液体に口付けた。
口の中に生姜の味が広がる。喉を伝わりお腹まで温かいものが流れ込んでいく。流れ込んだ場所から、身体の中から温かくなるのを感じる。
飲み干した時には、身体がぽかぽかしていた。
夕鈴がくすっと笑う。

「下町では薬は高いから、滅多に買えないんです。だから、風邪になったらこれを飲んで治すんですよ」

陛下が、薬嫌いって聞いていたので、と小さく付け加える。

「あ、下町のだからって、侮らないで下さいね!下町は皆これで治るんですか…」

夕鈴。
夕鈴のか細い手首を掴み、身体を引き寄せる。
君を強く、強く抱きしめたい。
そんな衝動に駆られた。
けれど身体に上手く力が入らなくて、ただ、君の肩に顔をうずめる。
身体も心も、君がいるだけでこんなに温かい。

「陛下?大丈夫ですか?」

僕を気遣う声。

「こんなに私思いの妃がいるなんて…私は果報者だな…」
「へいか?」
「今日は本当にありがとう、夕鈴」

また顔を赤くしている君と目を合わせる。
僕がお礼を言うと、夕鈴は嬉しそうに笑った。

「お役に立てて、嬉しいです−陛下」





*********
『薬が嫌いな陛下に、夕鈴が下町の民間療法の薬をだす』のが今回の野望でした。
なんか途中で子犬陛下が暴走。
いきなり夕鈴に甘えだしたのでびっくり。
一人称になってしまったので、前半部分ごっそり書き直しもしました…

夕鈴が陛下に出してるのは生姜湯と言ってますが、私の中では黒糖生姜酢のつもり。
疲れも取れるし、身体もあったまるので、冬には欠かせません〜。




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